throughputの意義
早速ですが、皆さんの中で「自分の知らない言葉が、いきなり口をついて出た」という経験をした人はありますか?思い出してみてください。…恐らく、いないだろうと思います。
では、「何と言っていいか表現できない気持ち」になったことはありませんか?これは、あると思います。
しかし、それは、本当に何と言っていいかわからないのではなく、単にその気持ちを表現する言葉を知らないだけだと僕は思います。
人間が文字を操るようになって4000年ぐらいたちました。言語を操るようになって200万年ともいわれています。
その歴史は、まさに「何と言っていいかわからないモノ」に名前を付けてきた歴史ともいえます。
私たちが直面する「何と言っていいかわからない」問題が、この歴史上初めて出てきたものだとは考えにくい。つまり、それもこの歴史のどこかで言語化されているはずです。
…言語について文字数を使いすぎました。つまり僕が何を言いたいかというと、
人間は自分の知っている範囲の言葉でしか物事を表現できない。
もっと言えば、自分の知っている範囲の言葉でしか物事を見たり聞いたりすることもできない。
という事です。
これが「アウトプットはインプットに依存する」という事です。
自分がどういう人生を歩むのか、どれだけ自分の理想とする人生を送るか、は、どれだけの事を知り、見、触れてきたかに依存します。そもそも自分の知っている範囲でしか理想を描くことはできない。
子供の夢が「野球選手になりたい」とかってなるのは、その時、自分が知っている職業が野球選手ぐらいだから、という事になりますし、それは大学生でもあり得る話です。
「安定志向だから大企業」
も就職の時よく聞く話ですが、なぜ大企業だと安定なのか、倒産やリストラの危険がないのはなぜか、大企業というくくりはそもそも正しいのか。
そこまで言える人と出会ったことはほとんどありません。
「知る」意義はここにあります。人生をより豊かにするために、多くの言葉を学び、多くの経験をし、多くの人と出会う必要があると考えています。
しかし、ここで重要なのは、「インプット量が100だからと言ってアウトプットも100になるわけではない」という事です。
重要なのは、“throughput(スループット)”です。
スループットはアウトプットとインプットの間にあります。
インプット:どれだけの事を学び経験し
スループット:そのうちどれだけの事を自分のものとして取り入れ
アウトプット:自分の人生に生かすか
この3つ、特に真ん中が重要です。
僕はこれをよく食事に例えます。
多くのおいしいものを食べても、それをしっかり時間をかけて咀嚼し味わわなければ、栄養も自分の体には入っていきません。「しっかり噛む」これが一番重要です。
本を読んで「いい本だった」で終わっても意味がないし
イベントに出て「刺激をもらった」で終わっても次には繋がりません。
本を読んだら、気になったところをまとめなおしたり、
イベントに出たら、その後思ったことを自分なりに言語化しておく。
こういう「しっかり噛む」作業が自分のアウトプットに繋がっていくわけです。
「アウトプット=インプット×スループット(%)×行動(%)」
僕はこの公式を凄い大事にしています。
具体的には、例えば
- 本を読んだ後は30分入浴して、今読んだところを考え直し、そのあと気付きがあれば言語化する
- 人と話すときはボイスレコーダーを回しておき、あとで聞きなおす。
- 瞑想する
とかです。どれも簡単にできることです。この「間」が大事な時間だと思います。
スマホを持つようになって僕たちはもしかしたら、「知る」手間と時間は前より少なくなったのかもしれません。しかし、同時に、自分の事、知ったことをしっかり見つめなおすような時間が減ってしまったように思います。
皆さんもこのコラムを読み終わったら、ちょっとパソコンを閉じ、iPhoneを置き、ちょっと目をつぶって、
今、何を読んだのか
自分が今している“インプット”って何だろう
自分には“スループット”の時間がしっかりあるか
自分がすべき“アウトプット”って何だろう
そもそも何で生きていて、どこに向かっていくんだろう
みたいなことをちらっと考えてみてほしいです。
その眼をつぶった数分が、大切な人生の「間」になっている事も忘れないでほしいな、と思います。
では!!